保育士を辞めたい理由7選|辞める前に考えること・転職先の選択肢を解説

「保育士の仕事を辞めたい」と感じたときは、無理に気持ちを押し込める必要はありません。まず心身の状態を確かめ、そのうえで「保育士という仕事を離れたいのか」「今の園を離れたいのか」を分けて考えると、次の選択肢が見えやすくなります。
千葉県が公表した保育士登録者への調査では、現役保育士6,632人のうち1,580人が転職を検討中、または退職予定と回答しました。悩んでいるのはあなただけではありません。この記事では、辞めたい理由の整理から、続ける・転職する・保育士を離れる判断軸、次の仕事の選択肢まで順に解説します。
この記事でわかること
- 保育士が仕事を辞めたいと感じたときに、最初に確認したいこと
- 続ける・転職する・保育士を離れるための判断軸
- 退職前に準備したいことと、経験を活かせる次の仕事
- 転職先で同じ悩みを繰り返さないための確認項目
保育士の退職に関するよくある質問
年度途中で辞めるのは無責任ですか?
年度途中の退職が、必ずしも無責任とは限りません。心身の不調などがある場合は、無理をせず休息や相談を優先しましょう。一方で、保育士は子どもたちの生活や成長に関わる仕事です。退職する際は、子どもや職員への影響も考え、早めの相談や引き継ぎを心がけましょう。
次の仕事を決めてから辞めたほうがよいですか?
収入を途切れさせたくない場合は在職中の転職活動が安心ですが、体調が悪い状態で無理に続ける必要はありません。生活費、休息の必要性、転職活動に使える時間を比べて、自分に合う順序を選びましょう。
保育士に向いていないと感じたら辞めるべきですか?
一度の失敗だけで、保育士に向いていないと決める必要はありません。まずは一人で抱え込まず、身近な職員や主任、園長などに相談してみましょう。仕事の進め方や役割を調整することで、負担が軽くなることもあります。それでも難しい場合は、異動や転職を考えるのも一つの方法です。
園見学では何を見ればよいですか?
子どもへの声かけ、職員同士のやり取り、保育室の落ち着き、事務作業の進め方を見ます。面接だけでは聞きにくいことも、見学後の質問時間があれば具体的に確認できます。
保育士の仕事を辞めたいとき、最初に確認したいこと
眠れない、食べられない、涙が出る、動悸がするなど、仕事の影響で心身の不調が続いている場合は、退職の結論より休息と相談を優先してください。職場へ行くこと自体が難しい状態なら、一人で抱えず、家族や医療機関、公的な相談窓口を頼りましょう。
働く人のメンタルヘルスに関する悩みは、厚生労働省のこころの耳で相談先を確認できます。いじめ、嫌がらせ、パワーハラスメント、労働条件などの職場トラブルは、無料・予約不要の総合労働相談コーナーでも相談できます。
緊急性が高くない場合は、次の3つを切り分けてみましょう。
- 心身の状態:休んでも不調が続くか/次の行動:休息、受診、外部相談を優先する
- 悩みの原因:給与、業務量、人間関係、方針など何がつらいか/次の行動:事実と希望を書き出し、相談や転職条件に変える
- 離れたい対象:保育そのものか、今の園や働き方か/次の行動:園内での調整、他園への転職、異業種を比較する
保育士が仕事を辞めたいと感じる主な理由
辞めたい理由は一つとは限りません。複数の負担が重なっている場合は、「最もつらいこと」と「変われば続けられそうなこと」を分けると、対処の優先順位を決めやすくなります。
①給料や待遇への不満
保育士の給料は、他の職種と比較して低い傾向にあると感じる方が少なくありません。子どもの命を預かるという重い責任や、多岐にわたる業務内容に見合った対価が得られていないと感じることは、退職を考える大きな理由の一つです。
特に、残業が多いにもかかわらず、その分の手当が十分に支払われない場合、不満は募りやすくなります。
給料や待遇に不満がある場合は、現在の職場で改善を求めるか、より良い条件の職場への転職を検討することが考えられます。まず雇用契約、給与明細、評価・昇給の仕組みを確認し、改善の余地がなければ転職先の条件と比較しましょう。
求人を見るときは月給だけでなく、固定残業代の有無、賞与の算定条件、手当、年間休日、シフト、試用期間まで確認することが大切です。
②残業や持ち帰り仕事が多い
保育時間中は子どもたちから目が離せないため、日中の業務時間内に事務作業や行事準備などを終えることが難しいのが現状です。そのため、残業が常態化したり、自宅に仕事を持ち帰ったりすることが多く、プライベートの時間が削られて心身ともに疲弊してしまうケースが多々あります。
人手不足の園では、この傾向がさらに顕著になることがあります。
残業や持ち帰り仕事の多さに悩む場合は、まず上司に業務量の軽減について相談してみましょう。業務量と実際にかかった時間を記録し、業務分担や優先順位の見直しを相談すると、状況を共有しやすくなります。
転職を考える場合は、「残業が少ない」という言葉だけで判断せず、事務作業の時間を勤務内に確保しているか、ICT化が現場で機能しているか、行事準備を誰が担うかまで確認します。
③職場の人間関係に疲れた
保育園は職員数が限られていることが多く、人間関係が密になりやすい職場です。そのため、一度人間関係が悪化すると、日々の業務に大きなストレスを感じ、孤立してしまうことがあります。
先輩保育士や同僚、主任、園長との関係性がうまくいかないことで、仕事へのモチベーションを失い、「辞めたい」と感じる人は少なくありません。ハラスメントが原因で退職を考えるケースもあります。
人間関係に悩む場合は、まず信頼できる同僚や、状況を改善できる立場にある主任や園長に相談してみましょう。感情だけでなく、いつ・どこで・何があったかを整理して伝えると状況を共有しやすくなります。
当事者や直属の上司に相談しにくいときは、法人の相談窓口や外部機関を利用できます。危険を感じる状況や深刻なハラスメントでは、無理に当事者同士で解決しようとせず、記録を残して外部へ相談してください。
④保護者対応への負担
保護者とのコミュニケーションは保育士の重要な業務ですが、クレーム対応や価値観の違いから生じる精神的な負担が大きいと感じる人もいます。保護者からの厳しい視線や、些細なことでもトラブルに発展する可能性に常に気を張っていることで、心に余裕がなくなり、保育の楽しさを見失ってしまうことがあります。
保護者対応に悩む際は、一人で抱え込まず、経験豊富な先輩保育士や上司に相談し、対応方法のアドバイスを求めることが大切です。園全体で保護者対応のルールを設けているか確認することも有効です。
個人の経験だけに任せる職場より、相談・報告のルールが明確で、難しい対応を組織で引き受ける職場のほうが負担を調整しやすくなります。
⑤命を預かる責任の重さやプレッシャー
子どもたちの安全と成長を預かる保育士の仕事は、その責任の重さから常に大きなプレッシャーが伴います。少し目を離した隙に子どもが怪我をしてしまったり、予期せぬ事故が起きたりするリスクは常に存在し、その度に自分自身や園全体の責任が問われます。
こうした日々の緊張感や重圧に耐えきれず、「もう続けられない」と感じる保育士もいます。責任を一人で背負っていると感じるなら、安全管理の手順、職員配置、事故時の報告・支援体制を確認しましょう。
施設の規模が小さければ必ず負担が軽いとは限りません。転職先を選ぶときは、規模よりも配置体制や役割分担、相談のしやすさを見ることが重要です。
⑥保育以外の仕事に追われている
保育士の仕事は、子どもたちと関わることだけではありません。指導案や日誌の作成、おたよりの準備、壁面装飾、行事の企画・準備など、多岐にわたる事務作業や制作業務が日常的に発生します。
これらの保育以外の業務に多くの時間を割かれ、本来やりたい子どもたちとの関わりが疎かになっていると感じることで、仕事への不満や「辞めたい」という気持ちにつながることがあります。
保育以外の業務負担が大きいと感じる場合は、園内で業務効率化の提案をしたり、業務分担の見直しを相談したりすることが大切です。やめられる作業、頻度を下げられる作業、共有できる作業に分けると、見直しの話を具体化できます。
⑦将来のキャリアパスが見えない
保育士として働き続ける中で、「この先、どのようなキャリアを築けるのか」「給料は上がっていくのか」といった将来への不安を感じることも、退職を考える理由となります。
自身の成長やキャリアアップのビジョンが見えないことで、「このままで良いのだろうか」という疑問が募るでしょう。
キャリアパスに不安を感じる場合は、まず園長や主任に自身のキャリアについて相談し、どのような道があるか確認してみましょう。それが難しい場合や、現在の園では希望するキャリアアップが見込めない場合は、キャリアアップ制度が充実した園や、専門性を高められる他の保育関連施設への転職を検討するのも有効です。
「子どもと関わる仕事は続けたい」と思えるなら、保育士を辞める前に、保育方針や育成体制の合う園を探す選択肢があります。
保育士を続けるか、今の園を辞めるかを判断する3つの軸
判断するときは、我慢できるかどうかではなく、健康・改善可能性・仕事との相性の3つで考えます。すぐに一つへ決めず、選択肢ごとの条件を比べても構いません。
1 心身の健康を保てるか
不調が続いているなら、「年度途中だから」「人手が足りないから」と先延ばしにせず、休むことを優先します。回復してからでなければ、現職を続けるか転職するかを落ち着いて判断できないこともあります。
2 現在の職場で改善できるか
担当変更、業務分担、勤務時間、雇用形態など、相談によって変えられる余地があるかを確かめます。相談しても状況が変わらない、相談そのものが難しい、約束した改善が実行されない場合は、環境を変える理由になります。
3 保育の仕事自体は続けたいか
子どもと関わることや保育の専門性にやりがいを感じるなら、今の園を離れても保育士を続ける道があります。一方、保育そのものから距離を置きたい場合は、資格や経験を生かす仕事と異業種の両方を検討しましょう。
- 今の園で続ける:相談や役割調整で改善が見込める/確認:誰が、いつまでに、何を変えるか
- 別の園へ転職する:保育は続けたいが、環境や方針が合わない/確認:保育方針、配置、業務時間、相談体制、条件
- 雇用形態を変える:勤務時間や担当範囲を調整したい/確認:収入、社会保険、担当業務、契約更新
- 保育関連の別職種へ移る:子どもに関わりながら働き方を変えたい/確認:必要資格、対象年齢、仕事内容、勤務時間
- 異業種へ転職する:保育から離れ、新しい経験を積みたい/確認:活かせる強み、必要スキル、収入と働き方
退職を決める前に準備したいこと
退職を決めたら、就業規則と雇用契約を確認し、生活と引き継ぎの見通しを立てます。ただし、心身の安全に関わる場合は、円満さより休息や専門家への相談を優先してください。
辞めたい理由と次の職場で望む条件を書き出す
「嫌だったこと」だけでなく、「次はどう働きたいか」に置き換えます。たとえば、持ち帰り仕事がつらいなら、次の職場では事務時間の確保方法や行事準備の分担を確認する、というように条件へ変換します。
希望条件には優先順位をつけましょう。すべてを満たす求人を探すより、譲れない条件を3つ程度に絞るほうが比較しやすくなります。
就業規則と雇用契約を確認する
退職の申出期限、有給休暇、賞与の算定条件、返却物、秘密保持などを確認します。有期契約か無期契約かによっても扱いが異なるため、判断に迷う場合や強い引き留めで困った場合は、公的な労働相談窓口へ相談してください。
生活費と転職活動の時期を考える
退職後に転職活動をする場合は、当面の生活費や社会保険の切り替えも考えておきます。心身に余裕があり、収入を途切れさせたくない場合は在職中に情報収集を始める方法があります。
具体的な転職準備は、初めての保育士転職で失敗しないための進め方も参考にしてください。
保育士経験を活かせる次の仕事
保育園を辞めても、保育士資格や現場経験を活かせる仕事はあります。施設名だけで負担の軽さを判断せず、対象年齢、配置、勤務時間、業務範囲を求人ごとに確認しましょう。
別の保育園や小規模保育園
保育方針、人間関係、業務分担が主な悩みなら、別の園への転職で改善する可能性があります。小規模な施設でも一人当たりの役割が広い場合があるため、見学で実際の動き方を確認しましょう。
児童発達支援や放課後等デイサービス
発達に特性のある子どもたちを支援する施設です。一人ひとりの発達段階や特性に合わせた個別支援計画に基づき、遊びや学びを通して成長をサポートします。
保育士の経験は、子どもの成長を理解し、個別に対応する上で役立ちます。対象年齢や支援内容、送迎業務の有無などは事業所によって異なります。
乳児院や児童養護施設
様々な事情により家庭での養育が難しい子どもたちが生活する施設です。
子どもたちの生活全般を支え、心のケアや発達支援を行います。集団生活における子どもの見守りや、個々のニーズに応じた関わりに保育士の経験を活かせます。夜勤を含む勤務がある場合もあるため、役割と勤務体制を確認します。
病児保育や院内保育
病気の子どもや、病院で働く医療従事者の子どもを預かる施設です。
体調の急変に備える知識や、限られた人数を丁寧に看るスキルが求められます。保育士の専門知識に加え、保護者や医療職との連携も重要になります。
企業主導型保育施設や事業所内保育
企業の従業員や地域の子どもを預かる施設です。開園時間や園児数、行事、保護者対応の方法は施設ごとに異なるため、一般的なイメージだけで決めずに確認しましょう。
ベビーシッター
保護者の多様なニーズに応じた柔軟な保育サービスを提供します。個別対応のスキルや、保護者との信頼関係構築能力が活かされます。
個別に関われる一方、移動時間、契約形態、事故時の補償、保護者との連絡方法を確認する必要があります。
学童保育や幼児教室
小学生の生活支援や、幼児への学習・活動支援で保育経験を活かせます。対象年齢や仕事内容が保育園とは異なるため、自分が関わりたい年齢や支援内容と合うかを考えましょう。
子ども関連企業や異業種
教材、子ども用品、写真、接客、事務など、異業種でも保育で培った観察力、説明力、調整力を活かせます。経験を「保護者への説明」「行事の進行」「複数業務の優先順位づけ」のように具体化すると、応募先へ伝えやすくなります。
転職先で同じ悩みを繰り返さないための確認項目
求人票だけでは、職場の雰囲気や実際の業務分担までは分かりません。応募前の園見学や面接で、辞めたい原因に関係する項目を具体的に確認しましょう。
- 保育方針と、日々の保育で大切にしていること
- 職員配置と、急な欠勤が出たときの対応
- 事務作業を行う時間と、持ち帰り仕事への方針
- 行事の回数、準備の進め方、制作物の分担
- 休憩、有給休暇、希望休、シフト作成の方法
- 新任者への研修、相談相手、定期面談の有無
- 給与、手当、賞与、残業代、試用期間の条件
松戸市で保育士として働き続ける選択肢を考えている方は、親愛会の福利厚生と働く環境もご覧ください。親愛会では、保育を離れて事務作業に集中するノンコンタクトタイムや、クラス外の保育士に相談できるメンター制を紹介しています。
まとめ
保育士の仕事を辞めたいと感じたら、まず心身の安全を確かめ、悩みの原因と「離れたい対象」を整理しましょう。今の園で改善できること、別の園なら変えられること、保育士を離れて実現したいことを分けると、自分に合う次の一歩を選びやすくなります。
親愛会は、千葉県松戸市で応募前の園見学を受け付けています。見学後に必ず応募する必要はありません。保育方針や子どもとの関わり方、職員の雰囲気、働き方を自分の目で確かめたい方は、親愛会の園見学のご案内をご覧ください。現在の募集職種や雇用条件は、保育士の募集要項で確認できます。






